寄稿者「アキラ」様の記事
男性保育士を目指したきっかけ
高校2年生の時、参加した福祉体験学習でたまたま保育所に3日間いったこと。
子どもの可愛さ、子どもと遊ぶことの楽しさを知った。
そこの保母さん(当時は保育士という言葉はなかった)に、
男性も保育所で働けるということを初めて知り、「これだ!」と思った。
学生時代の友人関係
私の行っていた短大は、学年に全部で100人弱いましたが、
男性は9人のみでした。
女友達もたくさんいましたが、
やっぱり男同士で一緒にいることが多かったように思います。
でもその9人中、幼稚園や保育所の先生になったのは半分以下でした・・・。
ピアノについて
大学に入ってからはじめたので、保育士になった今も苦手です。
ミスタッチも多く、子どもが歌いにくそうなので、
私はピアノ以上の大声で歌うようにして、
子どもたちが怪しいピアノに惑わされる事のないように指導しています。
苦労話
就職したての頃は、とにかく孤独と不安でいっぱいでした。
男性保育士は職場に一人。
周囲から期待や奇異の目で見られる(そんな気がする)。
男性保育士の知り合いもおらず、
そのような不安を相談したり、理解してくれる人も周囲にはいない。
女性ばかりの雰囲気にも馴染めず、やたら肩のこる毎日。
トイレの中に入り、鍵をかけた瞬間だけホッと一息つける。
男性保育者連絡会などで同じ境遇の仲間に出会えたこと、
少しずつ周囲にも男性保育士が増えてきたことで、
そういった部分は解消されてきましたが、
保育所で働く上での孤独や不安は完全に消えたわけではありません。
女性保育士と上手やっていく秘訣
- 女性がイライラしている時はできるだけ距離を置く
- それでも仕事上どうしても話さないといけない時は、言葉を選んで話す。
- それでも、ここぞとばかりに不条理な理屈をつけて怒鳴られたりした時は、「女性にはアレがあるから」と諦める。
- そんなことがあって、こっちは結構傷ついているのに、次の日には何事もなかったように接してきても「女性にはアレがあるから」と諦める。
- 非理論的であったり、自己中心的であったり、感情的であったり、長いものに巻かれろ的であったりするのは女性の特徴だと思って諦める。
男性保育士としての役割
男性は女性に比べて、子どもたちの視線を惹きつけやすい部分があります。
また、自分の興味のある分野には深い見識を身につけようとする傾向があります。
男女は平等であり、保育士として基本的な仕事の責任は同等ですが、
そういった男女の違いを認識して、うまく保育に活かすことが、
保育現場で子どもと関わる男性として大切だと思います。
現場で求められる男性保育士とは?
- 重たい荷物を持つ
- 蛍光灯を交換する
- パソコン操作に困った時にアドバイスする
実践している男性保育士ならではの保育方法とは?
普段は子どもたちとふざけて楽しむが、
叱るところはしっかり叱る。
男だからというよりも、自分の性格や思いからの保育スタイルですね。
複数担任の経験について
人間ですから、当たりハズレがあるのは当然です。
時には(私の場合にはだいたいの場合において)
自分と合わない人間と組まなければなりません。
そういう場合に気をつけているのは、
相手の話をゆっくり聞くこと。
意見が対立した時でもある程度は妥協し、落とし所を探る。
「ありがとう」「ごめんなさい」という言葉を惜しまない。
・・・たとえ、本心ではないにしても。
私はそんな風にしてなんとか乗り切っています。
一人担任のほうが気楽でいいやと思うこともあるけど。
保育現場の環境について
更衣室は廊下の一角にカーテンをつけて。
トイレは女性が入っていないタイミングを見計らって。(使いたいときに使えないことも多い)
男性保育士として保護者とどう信頼関係を築いている?
男女関係ないと思いますが、
保育所での様子を小さな事でもいいから、
日頃から伝えていくこと。
男性ということで不安視する人もいるだろうけど、
日々の保護者との関わりの中で信頼関係を作っていけば、
変な目では見られないようになると思います。
女児のクラス担任で保護者からの指摘について
実際に、オムツ交換をやめてほしい、
お尻を拭くのはやめてほしいと言われたことがあります。
(ごく少数の保護者からですが・・・)
そういう場合は個別に対応しています。
(その子が排便した後は女性保育士を呼ぶなど)
しかし、万が一、男児の親から「女性にしてほしくない」
と言われた時には対応できないだろうから、
男女平等という点ではいささか問題があるのではないかとも思います。
まあ、長い歴史の上で、女性の仕事とされてきた部分に私たちは進出したばかり。
社会的認知が進むまでは仕方ないのかなぁ?
給料について
公立園なので、地方公務員の待遇です。
贅沢はできないけど、生活には十分と思っています。
勤めている園に自分以外の男性保育士はいますか?
現在はいません。
以前は2人だったのですが、
- 「男性だから」という先入観や期待感で見られにくく、それぞれの個性を出しやすかった
- 男性同士だと腹を割って話し合える
- 下ネタや女性の悪口を言い合ってストレス解消ができる
といったメリットがありました。
また、男性保育士が複数人になればいいなと思っています。
後輩に伝えるメッセージ
子どもと関わることよりも、
その他の仕事や人間関係でストレスを感じる仕事です。
相応の覚悟がないと務まらないどころか、
楽しさも感じられないでしょう。
執筆者・寄稿者 | 「アキラ」様 |
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所属 | 公立保育所 |
保育士歴 | 12年目 |
現在の担当クラス | 4歳児担任 |
webサイト | ある男性保育士の視点。 |
※2012年10月20日現在の情報